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昇格をかけた最終節、高知に敗れシーズン終了。

2020年11月30日 

ついに闘いの日がやってきた。今季14試合を終えて7位、自力での昇格がなくなり、他会場の結果を踏まえていくつかの条件が整えば昇格できる可能性を残して迎えた最終節。大前提として、絶対に必要なのはこの最終戦に勝利することだった。そして奇しくも、先に述べた「他会場の結果を踏まえたいくつかの条件」は整っていた。しかし目の前の一戦に勝つことができず、奇跡の昇格劇は幻となり、ヴィアティン三重の2020シーズンは終わった。

ヴィアティン三重 0-1 高知ユナイテッドSC
(前半0-0・後半0-1)

  • 80分:高知ユナイテッドSC・藤﨑 将汰③

試合終了後・上野監督コメント

インタビュアー:試合全体を振り返ってください。

上野監督:試合を振り返る前に、まず1,400名もの多くのみなさんにお越し頂きましてありがとうございました。にもかかわらず残念な結果になってしまい申し訳なく思っています。最終節までこのような展開でリーグが進んだというのは、これまで暖かく応援してくださった皆さんのおかげだと思っております。本当にありがとうございました。

試合については、前半何回かチャンスがあったのですが、硬さがあったのだと思います。選手たちには思い切り動いて悔いのないようにやり切ろうと話していて、全員でそう誓ってピッチに立ったのですが、気負いがあったのか、緊張があったのか、いつもより少し丁寧さを欠いたプレーが目についたように思います。それがフィニッシュまでもっていく場面が少なかった要因だと思います。後半チャンスはありましたが、チャンスを逃したあとにあのような形で失点をしてしまいました。

今日お越し頂いた皆さん、メディアの皆さんも含めて、皆さん悔しい思いされたと思います。その悔しさを来年晴らすことができるように、これからも皆さんと共に頑張っていきたいと思います。

インタビュアー:今季はいろんな意味で特別なシーズンだったと思います。シーズン全体を通して振り返ってください。

上野監督:コンディションを作るのが非常に難しいシーズンになりました。本来、今日ピッチに立って欲しい選手が何人もいましたが叶いませんでした。年齢が高い選手はどうしてもコンディションを作るのが難しかったと感じています。シーズン序盤は良いスタートを切れたのですが、途中から勝てない試合が続きました。そこで諦めそうになった時もあったのですが、みなさんのご声援のおかげと選手たちの頑張りのおかげで、こうやって最終節まで昇格を賭けた闘いをすることができました。

他会場の途中経過はわかっていまして、自分たちにとってはとても良い展開で進んでいましたが、勝負はやはり甘いものではなかったと思っています。この結果を踏まえてもう一度みなさんと一緒に闘っていきたいと思います。

VTM:残念な結果になってしまいましたが、数字を振り返ってみるとシーズンを通しての得点数が下から3番目、失点数は上から3番目という結果になりました。今日の試合も含めて「得点力不足」という印象でした。得点が伸びなかった要因はどのあたりにあるとお考えでしょうか?

上野監督:難しい質問ですね…、得点数が少なかったことはわかってはいるのですが、フィニッシュで決め切るというのは「個のチカラ」によるものだと思います。しかしそれにもフォーカスして練習を重ねてはきたのですが、まだまだ練習量が足らなかったのだと思います。そして決定的なチャンスを作っていくのは監督である私の仕事のひとつだと思っていますし、選手たちもそこにしっかりと取り組んでくれました。それを踏まえてチームのチカラ、個のチカラをもっと引き出せるように導いて行きたいと思います。

記者:今季最も成長したと感じられる選手、頼りになったと感じているベテランの選手を教えて下さい。

上野監督:全員一生懸命にやってくれました。怪我があったり、出られなかった選手もいましたが、全員がよくやってくれたと思います。特に若手では2年目の塩谷、古川らが良くやってくれたと思います。でも彼らが活躍できたのは、そのお膳立てをしてくれた中盤の選手たちがいたからですので、そういった意味では全員がよく頑張ってくれたと思います。

記者:最終的には6勝6敗3分となりました、数字的にはどれぐらいのところが昇格ラインだと考えていましたか?

上野監督:数字上では考えていたラインがありましたが、それよりももったいない試合を落としてしまったのが多かったと思います。ホームでやったホンダロック戦では引き分けにできそうなところを負けてしまったり、MIOびわこ滋賀戦ではリードしていながら逆転負け、開幕のHondaFC戦ではリードしていたのにアディショナルタイムで失点してドロー。そういったところを取りこぼしてしまったのが昇格出来なかった要因だと思います。

勝負はやはり厳しいものだと思います、そういった試合でゴールを決められる、勝点をとれる、失点を減らすことができれば昇格というものが見えてくるのだと思います。もったいない、苦しいシーズンだったという感想です。

記者:その勝ち切れなかった要因は先程の得点力に課題があるのでしょうか?それとも失点しないというところでしょうか?

上野監督:両方あると思います。ベテランもいますが若いチームですので、最後に勝ちきるチカラ、得点をとるちから、逃げ切る(失点をしない)チカラが必要です。先日のいわき戦もそうです。リードして失点せずに勝ち切っていればいまごろ昇格しているわけですので、攻撃・守備の両方でシビアなところをくぐり抜けていくだけの経験、チカラが必要だと思います。

記者:先ほど試合中に硬さがあったと言われていましたが、硬さが出た要因はどこにありましたか?

上野監督:はじめは硬さがありました、そして点が取れない焦りもあったと思います。そんな状況で本来持っているチカラを出し切れなかったのかもしれませんが、それは乗り越えて行かなくてはならない部分だと思います。選手たちは今日の試合でまた成長してくれたと思います。先週のいわきFC戦のとき、選手たちは今日よりももっと緊張していて「緊張している」と言葉に出すほどでした。でもその試合を経て成長したと思いますし、今日のホームゲームを終えてまた成長してくれたと思っています。

この悔しさを忘れずに、みなさんと共にJリーグ昇格を目指して頑張っていきたいと思います。今シーズンありがとうございました。

西村仁志選手・試合終了後コメント

インタビュアー:試合を振り返ってください。

西村選手:チャンスに決め切れなかったこと。失点するまでに多くのチャンスがあったので、そこで決めることができていれば流れが変わっていたのではないかと思っています。

インタビュアー:今シーズンを振り返ってください。

西村選手:全15試合になり、各チームと一度しか対戦できないということもあって、その一試合に掛ける思いというのは強くなりました。負けたときには次の対戦で修正して臨むということができなかったので、一戦一戦大切に闘いました。

記者:監督は硬さがあったと言われていました。選手としてはどう感じていましたか?

西村選手:普段より距離感が良くなかったり、動き出しの速さが足らなかったり感じる部分がありました。

記者:今日の試合に入る前に、チームにはどんな言葉をかけましたか?

西村選手:普段やってきたことをしっかりやろう。自信を持って声を出して、楽しんでやろうと。

記者:キャプテンとしてチーム作りをする上で心がけていたことは?

西村選手:負けが続いていた時に声を出してチームの士気を高めるように努めました。

記者:来季に向けての抱負を聞かせてください。

西村選手:勝つこと。勝つことでサポーターのみなさんがもっとスタジアムに足を運んでくれると思うので、しっかり勝ち続けられるチームを目指していきたいです。

記者:昇格まであと一歩のところで果たせなかった、その気持ちを聞かせてください。

西村選手:とても悔しいです。シーズンを通してみると、勝てる試合で引き分けたり落としたりしていたのがとても残念です。来季はそういう試合でしっかり勝てるようにしたいです。

記者:キャプテンの目から見て、今季に感じた課題を教えて下さい。

西村選手:シーズン序盤でチームの連携などがうまく行かない試合が多くあったので、シーズンの最初から良い連携を作ることができればもっと勝てるチームになれると思います。

インタビュアー:最後にファン・サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。

西村選手:今季は昇格のチャンスだったわけですが、最後までこういった展開で試合ができたのはサポーターの皆さんの支えがあったからだと思っています。今日の試合は残念な結果になってしまいましたが、しっかりと受け止めて来季は開幕から良いスタートが切れるように頑張りたいと思います。これからも熱い声援をよろしくお願いします。

前半・決定機は少なく互いにシュート1本ずつ、スコアレスで後半へ

運命の一戦。これまで攻撃の要となっていた佐藤洸一⑱が怪我でベンチアウト。坂井将吾⑥がスタメンに入る。試合開始からヴィアティンペースで試合は進む。しかし肝心なところでチャンスに繋がらずシュートまで至らない。人数をかけてボールを奪い、素速く攻撃に転じるが迫力を欠く。ピンチも少なかったがチャンスも少なく、主導権を握りながらも焦れた展開のまま後半へ。

後半・得点が欲しいヴィアティン、失点が焦りに繋がり精彩を欠く。

0-0で迎えた後半、ボランチの西村仁志㉓に替えて澤 朋哉⑧を投入。激しいプレスからボールを奪い、ヴィアティンらしいサッカーを展開、個の勝負でも優位に進めるがフィニッシュの精度を欠く。パスは繋がるがここ数試合のようなテンポの良さを感じない。ところどころ相手ペースになる場面がありシュートを許すが際どいところでGK・森建太①が弾き返す。

得点が欲しいヴィアティン三重。左サイドから古川大悟⑨が塩谷仁⑦へクロスを送る、身体をひねって得意のヘッドを見せるが硬さが出たのか枠を捉えられずゴールならず。

 

そして迎えた80分、中盤での競り合いからのルーズボールを相手選手がふわっと蹴り込み森建太の頭を越えてたボールがゴールに吸い込まれ失点。

残り10分。負けはもちろん、昇格するためには引き分けも許されない。引いて守備を固める高知に対し、2点が必要になったヴィアティン三重に焦りが見え始める。交代枠を全て使い果たしてフレッシュな選手を送り込む。焦りながらも細かくパスを繋いで相手陣内に攻め込みチャンスを迎えるがゴールが遠い。

そして90+4分が経過し試合終了のホイッスル。ピッチに崩れ落ちる選手たち。ヴィアティン三重の2020シーズンが終わりを告げた。

もう一度立ち上がろう。そしてドラマは続く。

ハーフタイム、記者たちの声があちらこちらから聞こえてくる。「ヴィアティンにとって最高の展開になっているぞ!」前節いわきに引き分けたことで自力での昇格が消滅、この一週間は最終節の勝敗と勝点の計算を何度したことか。しかしその計算の大前提として必要な条件はヴィアティン三重が勝利することだった。これが果たされない限り、他会場の結果は何の意味も成さない。

そして試合が終わり、目の前の闘いに敗れたことで、他会場の結果を知る必要もなくなってしまった。

ピッチに座り込み、立ち上がることが出来ない古川大悟、声をかけ、支える澤朋哉。全員が最後の最後まで魂を震わせながら走り続けた。今シーズンのはじめに上野監督が掲げた言葉「汗の結晶を見せよう」。最後までその言葉を体現し続けた選手たち。しかしJ3昇格のプレッシャーは大きかった。リーグ終盤戦で実を結び始め確かな自信を掴んで躍進したヴィアティン三重。何度も諦めかけた昇格争いは最終節までもつれ込み、最高の舞台が用意された。しかし1点が遠かった。

最後までもつれたシーズンとなったが、シーズンを締めくくる監督の言葉は昨シーズンと同じだった。

「もったいない試合が多いシーズンでした。」

チームとしては大きく成長を遂げたものの、昨シーズンには抱くことができなかった「J3昇格」という具体的な目標を前にし、若いチームはその重さにのまれてしまったのか。スタジアムが整い、百年構想クラブ、J3クラブライセンス取得と全てが整った状況の中、平均観客数2,000人という条件が無効になり、昇格するためには成績だけがフォーカスされ、そのプレッシャーを背負った選手たち。試合数が半分となり1試合ごとの重みは増した。我々には想像ができないプレッシャーだったことだろう。

いろいろなことがあって難しいシーズンとなった2020年。このメンバーで闘うシーズンは終わってしまったが、クラブとしてはまた立ち上がり、次なるドラマに向かって歩を進めるしかない。彼らが流した汗の結晶をクラブの歴史とともに胸に刻み、この一年を共に闘い抜いたオレンジ色の戦士たちにエールを贈ろう。

そしてまたスタジアムで熱狂しよう。We are VEERTIEN, Never Stop Challenging.

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