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「地域の熱量を感じ、町の想いがJリーグの理念と合致した。」 Jリーグ村井チェアマンヒアリングレポート

2020年10月30日 

 

2020年10月29日・東員町文化センター会議室にて開催されたJリーグ入会審査・村井チェアマンによるヒアリングが実施されました。東員町・桑名市を初めてJリーグ村井チェアマンが視察され、その印象や感想、課題について取材を行いました。出席者等については10/29のお知らせ記事を参照してください。

村井チェアマン コメント

記者:今回のヒアリングでは様々な項目について質問されたと思いますが、何を重点的に聞かれましたか?

村井チェアマン:まず行政、三重県サッカー協会に対しJリーグに参入するクラブに対する支援体制、サポートの想いや地域の熱量などを中心にお話をお伺いしました。むしろ財務面やスタジアム整備については事前の調査で把握できていましたので、今日は直接対面させて頂いた中でそこに込める想いを聞かせて頂きました。

記者:今回のヒアリングは入会審査の一環と考えてよろしいでしょうか?

村井チェアマン:はい。入会にはいくつかの具体的な基準がありますが、それに加えて競技順位、そして最終判定はJリーグの理事会で行いますので、クラブの支援体制を含めた総合的な内容を理事会が判断するために、今日事前の打ち合わせをさせて頂いたという次第です。

記者:実際に初めてスタジアムを見られて、地域の声を聞かれて第一印象としてはいかがでしたでしょうか?

村井チェアマン:スタジアムだけではなく、ホームタウンである桑名市、東員町の町の景観や距離感、そして当事者である行政のみなさんと直接お話しました。そういったハード面だけではない裏側の想いがサッカーの場合は極めて重要ですので、百聞は一見にしかずですが、まず全体として非常に高い熱量を感じました。スタジアムそのものに関しても非常に丁寧に手を加えられていて、諸室から周辺施設、サブグラウンドまで拝見させていただきました。J3で使う上では十分な機能を持っていると認識しています。

記者:地域の熱量を感じられたということですが、一方で課題を感じる部分はありましたか?

村井チェアマン:競技順位などというもの以外では、今日のミーティングの中でもっともっと地域として協力していきたいという想いもあって、地域のサッカー協会ともっと連携していく必要がある。もしくは知名度はある程度出てきたけれども、実際スタジアムに足を運ぶファンをもっと増やすこと。現状はコロナ禍で制約がありますが、もっと具体的にチームとのふれあいを増やして行くような取り組みが必要ということが語られました。

記者:「地域に必要とされるクラブ」という中で、先程言われた地域の熱量は具体的にどんなところから感じられましたか?

村井チェアマン:まずホームタウンの桑名市と東員町、こちらを代表される方にお話を伺いましたけれども極めて主体的に、自らクラブに関わるぐらいの強い想いを感じました。そういう意味では行政のトップがここまでチカラを入れて頂けているのは大変心強いと思っています。今日はファンやサポーター、応援している地域の人々と実際に触れ合う機会はなかったのですが、お話をお伺いする中では高い熱量があると感じています。

記者:他のクラブへもいくつか視察に行かれていると思いますが、その中でも東員町の際立って良い部分はどのあたりだと感じられましたか?

村井チェアマン:まず、先ほどそちらで掲示物を拝見したのですが(東員町文化センターの掲示物)、「コロナ禍で移住したい町ランキング」近畿圏の上位にランクインされていることを知りました。名古屋との距離感、大都市との距離感も近く、これだけ豊かな自然に恵まれている。そして歴史的にも宿場町として大変栄えていたという町。歴史と自然環境と利便性、いろんな角度から見て立地的にも良いなと感じました。それからいわゆる芸能文化とスポーツという「人間生活に欠かせない文化」に積極的に投資をされている町がありました。今回お話を伺う中で印象的な言葉がありました。「文化のエネルギーは人を傷つけることがない」という言葉です。エネルギー問題は大きな問題を生む可能性があるのですが、文化エネルギーは人を傷つけないということを信念としてお持ちであることを知り、Jリーグは「スポーツでもっと豊かな社会を」という基本理念を掲げていますので、そうした観点からも合致していると感じました。(文化エネルギーは人を傷つけない:町長ブログより

東員町・水谷町長コメント

記者:今日のヒアリングでは何が議題になったのでしょうか?

水谷町長:百年構想、J3クラブライセンス交付ときて、あとはリーグでの成績が基準を満たせばJ3に昇格することができるという状況で、我々地域がヴィアティン三重にどんなことを期待しているのか?もうひとつはそのために経済的な部分も含めて我々がどんな支援をしていけるのか?その中での課題は何か?という内容でした。

VTM:今日のヒアリングの中で、一番印象に残った質問、それに対してなんと答えられましたか?

水谷町長:質問といいますか、ご指摘頂いた点でもあり、我々も同じように感じている点があります。それは地域のサッカー協会(桑名・いなべ)ともっと一緒になってお互いにウィン・ウィンの関係を築いていく必要があると思っています。

記者:今日のヒアリングを経て、東員町としての具体的な課題は何でしょうか?

水谷町長:まず、駐車場が不足している点です。したがって駐車場の整備をしていく必要があります。もう一つは、町内の企業を巻き込んでヴィアティン三重の応援をしていかなくてはと感じています。我々がもっと働きかけて一緒に取り組んで行くようにしたいと思います。

桑名市・伊藤市長

記者:桑名市は具体的にどんな支援をしていくのでしょうか?

伊藤市長:桑名市としては、ヴィアティン三重の露出を増やすこと。これをしっかりやっていくことを取り組んでいます。懸垂幕やのぼりなどを桑名駅や市役所庁舎などさまざまな公共施設で設置しておりますので、多くの方にヴィアティン三重を知って頂いて応援していく、そんな機運を高める取り組みをしていきます。

記者:ホームスタジアムは東員町にあり、クラブの本部(クラブ所在地)は桑名市にある。その状況の中で桑名市としてはどんな姿勢で本部を支援されるのでしょうか?

伊藤市長:本部の支援という具体的な案は決まっておりませんが、クラブ発足の地である桑名市には80社を超えるスポンサー企業があります。そしてJに上がると全国から各チームのファン・サポーターの方がヴィアティン三重の試合にお越しいただくことになりますので、その際には名古屋・大阪方面からまずは桑名まで来て頂いて、公共交通機関・三岐鉄道北勢線をご利用されて東員町に向かわれることになると考えていますので、我々としてはスタジアムが東員町だから寂しい…ということではなく、連携してしっかり応援していきたいと思います。

三重県サッカー協会・岩間会長

記者:プロクラブがない三重県として、これからJクラブが誕生する上での意気込みのようなことは話されましたか?

岩間会長:現時点ではアマチュア最高峰カテゴリーであるJFLに、三重県からは2つのクラブが参戦していますので、切磋琢磨しながらお互いを高めあっている状況だと思います。その中でヴィアティン三重が先に条件面を整えたわけですので、早くJリーグに上がれるだけの実力をつけた上で、地域の皆さんにしっかりと応援していただけるクラブになってほしいと思っています。J3にあがるための条件で一番の課題は観客動員数があります。平均2,000人の観客を入れること。今年は新型コロナウイルスの関係でこの条件が外れていますけれども、観客を動員できるかどうかと言うのはJクラブになる上では大きなポイントになりますので、もっともっとみなさんに応援してもらえるクラブになってほしいと思っています。

VTM:ちょうどタイムリーに鈴鹿ポイントゲッターズさんのスタジアムの話題がニュースになりました。ヴィアティン三重も鈴鹿ポイントゲッターズさんもそれぞれに自前でスタジアムを整備することになったわけですが、それを踏まえて三重県サッカー協会としてはハード面で今後どのような支援をお考えでしょうか?

岩間会長:県協会としてはこれまでスタジアムを整備するための県民会議というのを組織して議論を重ねてきました。ただ、三重県にスタジアムを複数作ることは難しく、ひとつしか作れないと考えていますので、どのクラブのために作るのか?がスタート地点になります。そういう意味ではみんなが「スタジアムを作ってあげよう」と思えるようなクラブが早く誕生してほしいと思っています。

VTM:「どのクラブのために?」とおっしゃられましたが、今回両クラブが準備したのは5,000人規模・J3規格のスタジアムですので、県が作るのであればJ2規格・10,000人以上ということで、どちらが先にJ2に上がるのか?という話になるのでしょうか?

岩間会長:そうですね。J2規模に留めるのか、J1規模を目指すのか?を考えると県内にひとつしか作れないという点を踏まえるとJ1規模になると思います。これはやはり県民の期待を背負った上で県としてもハード面を整備する必要があると思いますので、そこを目指して行きたいと思います。

ヴィアティン三重・後藤社長

記者:村井チェアマンが熱量を感じたとおっしゃられましたが、具体的にどういった内容を、熱量を持って伝えられたのでしょうか?

後藤社長:水谷町長、伊藤市長からはそれぞれ地域の経済界などについてのお話をして頂きました。町長や市長から、ホームタウンとしての力強い支援体制の説明、経済界など地域でかなり広がりを見せている地域の機運の高まりについての説明を頂いたこと。そして今日一緒にスタジアムの視察もさせて頂きました。クラブとしてはその中で、コロナの関係で今は声を出す応援ができていないですが、ヴィアティン三重が誇るJFLでも最も熱いゴール裏の話をさせて頂きました。今はそれが出来ないので我々ヴィアティン三重の熱を伝える上では一番の特徴、強みをお伝えできないのが寂しいですね、といったお話をさせて頂きましたので、そこで熱量という印象に繋がったのかなと思います。

記者:ズバリ手応えはいかがですか?

後藤社長:やはり順位が4位以内(うち対象クラブで2位以内)に入らないと当然昇格できません。スポーツには勝ち負けが付き物ですので簡単ではないですが、今日のこの場で町長、市長、サッカー協会さんからのお話し頂いて、そして村井チェアマン自らお越し頂いてのヒアリングを受けるのは初めてですので、あらためて気持ちを引き締め直しました。そしてただ試合に勝つだけではなく、地域を大切にしながら活動していかなくてはならないと感じました。

記者:やはりクラブ経営者としては、こうしてチェアマンが来られてのヒアリングが行われたことは感慨深いものでしょうか?

後藤社長:はい。なんとか団子状態で4位以内の可能性がまだ残っているので今日を迎えられたわけですが、地域のための活動や様々な良い活動をしていてもやはり勝てないとこういったヒアリングは受けられないですし、もちろん昇格できないわけですから、やはり地域での活動と競技力向上の両輪が回るように今後も取り組んでいきたいと思っています。そしてまず、こうしてヒアリングが開催できたことはとても嬉しいですし、あらためて残り5試合に繋げて行きたいと考えています。

記者:順位以外で課題と感じる点があれば教えて下さい。

後藤社長:ホームタウンとなっている地域のみなさんが「頑張ってね」という言葉ではなく、自分ごと・当事者として関わってくださる人が一人でも多く増えなくてはならないと思っています。そういった方がたくさんいらっしゃるか?と考えるとまだまだ力不足だと感じていますので、「自分ごと」として受け止めていただける方を政財界、サッカー関係者含めて増やしていく必要があると感じています。

記者:先程も話題に出た鈴鹿ポイントゲッターズさんのスタジアムの件も含めて、直接的なライバルチームがいる中での課題と感じることはありますか?

後藤社長:もともと同じJFLで闘っている鈴鹿さんですし、今回のスタジアムの話も情報としてはお聞きしていました。どこのクラブも努力されてスタジアム整備をされていくわけですので、今朝ニュースが出た時に特別驚いたりはしませんでした。どこのチームもライセンスを持っているというぐらいの思いでJFLを闘っていますし。周囲の方々が「鈴鹿さんがスタジアムを!」と言って声をかけてくださるので全く意識していないということはありませんが、ホームタウンが違いますのでヴィアティン三重としてやるべきことをやって、先程も申しましたように両輪を回して行きたいと思っています。

記者:残り5試合、厳しい状況にあると思いますが、サポーターの皆さんに向けてなにかメッセージをお願いします。

後藤社長:残り試合数が減ってくるにつれて、サポーターのみなさんに声をかけていただくわけですが、残り7試合・7連勝しましょう!残り6試合・6連勝しましょう!と言って頂いているので、申し訳なく思っています。非常にハードルは高いですが、残り5試合で5連勝すれば可能性は残っていますので、サポーターさんの想いを、本当に熱い想いに応えることができるように連勝目指して頑張りたいと思っています。