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上野展裕監督インタビュー(前編)

2019年02月26日 

先週、今シーズン新しくヴィアティン三重トップチーム監督に就任した上野展裕(うえののぶひろ)監督にインタビューをさせてもらった。午前中の練習を終え、阪倉コーチとのミーティングを終えて事務所に戻ってきた上野監督、会議室にて1対1でのインタビューが始まった。

決断した理由は理念に共感したこと

VM編集部(以下VM):ヴィアティン三重に来ることを決めた理由を教えて下さい。

ヴィアティン三重の監督をお受けした理由は3つあります。

まず最初に、ヴァンフォーレ甲府の監督を退任後、一番最初に声をかけてもらったのがヴィアティン三重でした。二つ目はヴィアティン三重の理念に共感しました。クラブの理念や総合型スポーツクラブとしての取り組みが、ある意味Jリーグクラブよりしっかりしていると感じました。どこのクラブということではないのですが、やはりJリーグクラブは勝たなければならない、降格してはならないという「勝利至上主義」になっている傾向にあります。それに対してヴィアティンは地域に根ざした取り組みや活動がとても素晴らしいと感じました。

3つめは、あるきっかけがあって2年前から三重県のサッカークラブの話を耳にするようになりました。そこで聞いたヴィアティンの評判は「地域に根ざした活動をしているクラブ」という声でした。そして今回声をかけてもらったのですが、以前から三重県のサッカーをよく知る知人や三重県のサッカー関係者、そして三重県出身の裕二(阪倉コーチ)から聞いていたヴィアティンの印象がとても良かったことと、後藤社長からうかがった理念や方針に共感したこと、現場スタッフの強化とフロントスタッフの強化に取り組むという方針を伺ったことが、ヴィアティンでのチャレンジを決断した理由です。

選手たちはとても頑張っている、そしてクラブは多くの方々に支えられている

VM:監督に就任して2ヶ月、クラブの印象とチームの印象を聞かせて下さい。

クラブに関しては「いろんな人に支えられているクラブ、いろんな人が関わっているクラブ」と感じました。

事務所にいるといろんな方が事務所に出入りされています。みなさんが「ヴィアティンの◯◯です」「ヴィアティンの△△です」と言われるので、「あれ、この人は誰だったかな?この人は何の役割をされている方だったかな?」と思うぐらい多くの方々が関わっていて、名刺交換をするとみなさんそれぞれに自分の仕事を持っていながらヴィアティンの仕事もしていただいている。みなさんが貴重な時間をヴィアティンのために割いてくださっている、そういった方々に支えられているクラブなんだという印象を受けました。

チームに関しては、選手たちが本当によく頑張っていると感じています。ほとんどの選手が、午前中に練習をして、昼食をとって、シャワーを浴びることもできずに仕事に向かい13時から夜まで働いている。遅くまで働いている選手もいるので翌日の練習は大丈夫だろうか?と思うほどですが、そんな日常を送りながらもわれわれスタッフには「あれやれ!これやれ!」と言われても真剣に取り組んでいる。本当に頑張っています。

VM:そういった選手たちの日常は上野監督が思っているよりハードでしたか?

そうですね、過去に私が監督をしていたツエーゲン金沢(地域リーグからJFL)、レノファ山口(JFLからJ3・J2)も働きながらサッカーをしている選手はいましたが、ヴィアティンは正社員としてしっかり働いている選手が多いですね。思っていた以上に選手たちはハードな環境で頑張ってくれています。

先日の新体制発表会でも言いましたが、ほんとうに頑張っている選手たちを勝たせてやりたい、応援してくださるみなさんと一緒に勝ちたい、そう強く感じています。

目指すのは、最後まで絶対に諦めないサッカー

VM:「最後まで諦めない、やりきる、走り抜く」というスタイルを掲げられています。昨シーズン、ヴァンフォーレ甲府でのルヴァンカップや天皇杯の映像を見ましたが、格上のJ1クラブを相手に最後の最後まで諦めない姿、映像からそういった上野監督が目指すスタイルを感じました。

甲府での指導は短期間だったので長期的な強化は難しかったのですが、ルヴァンカップなどでは「上位(格上チーム)との闘い方」という部分は徹底しました。そこはヴィアティンも同じです。今季のJFLも戦力的に実力が上のチームとの闘いになると今は予想しています。その中でどうすれば勝てるのか?どうすればいい勝負に持っていって、そこから勝ちきれるのか?これを考えて練習に落とし込んで、確かめて、というトレーニングのサイクルを繰り返し行っています。

VM:昨シーズンの上位チームとの対戦映像などは見られましたか?

昨年末の就任時にヴィアティンの全ての試合映像をもらったので全部見ました。過去にもJFLでの指導は3年ほど経験していますので、映像をみて「やっぱりHondaFCは強いな〜」と感じましたし、FC今治、FC大阪、奈良クラブなど多くのチームが昨年以上に強くなってくるだろうと予想しています。なので開幕では奈良クラブと、2戦目ではFC大阪と対戦、開幕から厳しい闘いが続くなと感じていますが、強いチームとの対戦はとても楽しみです。

VM:わたしたちスタッフも含めて、ヴィアティンサポーターにとって監督が代わるというのは初めてに近い体験です。新たに就任した場合、どういった手順でチーム作りをしていくものなんでしょうか?

監督としてああしたい、こうしたいという考えはもちろんあります。JFLだからこうしようというより、それぞれの選手のレベルに合わせた指導をしていきたいと思っています。チームの実力や選手の特徴を考えた上でまずはこれをやって、これができたら次はこれ、できたらこれ、といったように段階的にレベルアップできるように考えています。甲府に行ったときも同じようにやりました。もちろん実力はあるのですが、シーズン途中からの就任だったので、まずはここまでやろう、これはここから始めよう、時間があればこれもやってみようというような指導をしていました。

VM:そういう点からみると、レノファ山口の時は長期的な強化プランが立てられたということでしょうか?

そうですね、普段の練習はもちろん、補強やセレクションを計画的に行うことで3年半ほどかけて段階的にチームを強化していくことができました。逆にツエーゲン金沢の時は、全社・地決を勝ち抜くこと(負けないこと)が絶対的に求められていましたので、守備的なチーム作りに徹底しました。というのも、攻撃のカタチを作るのは守備に比べて時間がかかります。ですので守備をしっかりやって、プレスをしっかりかけてというチームづくりをしました。

これはまさに今ヴィアティンで着手していることと同じです。まず守備をしっかりやって、プレスをしっかりかけて、それができたら攻撃の練習に時間をかけていくやり方で取り組んでいます。

VM:攻撃陣の選手には何かしらコンセプトや方向性は伝えられていますか?

おおまかなチームコンセプトは伝えています。ですが、攻撃というのは選手にそぐわせるものだと考えています。こちらがこれやりたい、あれやりたい、というのがあってもできることもあればできないこともあります。攻撃の選手がもっている特性がそれにあっていないこともあります。最終的には選手の特性に合わせてチームの攻撃を作っていこうと考えています。

VM:それは守備の選手に対しても同様ですか?

守備の方は攻撃よりも本来作りやすいものなんです。でも攻撃の場合はそこにアイデアがあったり、それぞれの選手に落とし込むのは時間がかかります。ですので守備に関しては自分たちの守り方はこうです、例えばここでボールを取るとか、ここでプレッシャーをかけていこう、ポジションはここに取るんだとか、守備は攻撃に比べるとチームに落とし込みやすいものなんです。

VM:指導方法についてですが、J2からJFLの監督になられました、カテゴリーが変わったことによって指導の仕方は変化させるものですか?

いえ、JFLになったから変えるということはありません。先程もお話したように、選手のレベルに合わせて段階的に指導しています。選手のレベルによって、今回はここまでやろう、今日はここまでやろう、という風にやっていて、1年後にはここまでできるようにしようという目標を設定しています。それを途中途中で修正しながらやっていきます。例えば今シーズンは4位以内に入りたい!そのためにはここはこうしよう、夏ごろにはその目標に近づくために2〜3名は補強をしたいとうようなことも考えています。

〜前編・終わり、後編につづく〜

後編予告

  • 仕事をしながら練習している選手たち、監督として配慮していること
  • 阪倉コーチとの関係、チーム内での役割分担
  • 昨シーズンのデータを見ながら、少し雑談(失点を減らす、得点を増やすなどなど)
  • ファンの皆さんへのメッセージ(動画あり)