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大竹のゴールで今季三度目の三重ダービーに勝利!

2023年11月14日 

 

あたりまえのことだが、負けていい試合などひとつもない。しかしその中でも絶対に負けられない闘いがある、それが三重ダービーだ。今季三度目となる鈴鹿ポイントゲッターズとの三重ダービー。前節を終えた時点で鈴鹿が9位、ヴィアティン三重が10位と勝点1差で順に並ぶ。前節の敗戦でJ3昇格の可能性は潰えてしまったが、残りの3試合はただの消化試合ではない。それが三重ダービーとなればなおさらだ。直近の4試合で勝ち星はなく、1ヶ月以上勝利から遠ざかっているだけに選手もサポーターも勝利に飢えていた。

序盤からヴィアティン三重がしっかりとボールを保持し、安定した守備と良い連携の攻撃を繰り返し優位を保ちながら試合を進める。しかし相手ゴールには迫るもののゴールが決められず、同じく負けられない気持ちを全面に出す鈴鹿の身体を張った守備に阻まれる。後半に入り交代選手が少しずつ流れを変え、更に優位に進め何度も相手ゴールを脅かす。あとはゴールだけ、あの場所にいた全員がそう思っていた83分のことだった。68分に交代で入った⑨大竹将吾がスペースに抜け出し値千金の先制ゴールを決める。そして最後は鈴鹿の攻撃をしのぎ切り今年最後の三重ダービーを勝利で飾った。無失点での勝利は12節の沖縄SV戦以来、実に15試合ぶりだった。

今季の三重ダービーは2勝0敗1分、リーグ終盤の大一番で白星をあげ、ホームのように盛り上げ、選手たちを後押ししたサポーターたちも久しぶりの勝利と三重ダービーの勝利を噛み締めた。

 

 

第25回 JFL第28節・試合結果

ヴィアティン三重 1-0 鈴鹿ポイントゲッターズ
(0-0/1-0)

  • 83分:⑨大竹将吾・ヴィアティン三重

 

前半・試合を優位に進めるも決定機に決められず

 

数日前から急に冬の寒さが訪れ、どんよりと雲が広がる三交Gスポーツの杜鈴鹿も気温16℃と今年一番の冷え込み。白のセカンドユニフォームを着用したヴィアティン三重の選手らもアンダーシャツを着て試合に臨む。前節は不在だった⑩田村、㉔池田がスタメンに復帰、㉟寺尾と㉕藤澤がサブにまわり、その他は前節の大分戦と同じメンバー構成。

鈴鹿ボールで試合が始まり立ち上がりはややボールが落ち着かなかったが、10分に差し掛かる頃にはヴィアティン三重がボールを握って試合の流れを掴み始める。最初のシュートはコーナーキックのこぼれ球を拾った⑳金、その後もコーナーキックからのボールを⑱エフライン・リンタロウがシュート。12分には左サイドから切り込んだ⑮梁がシュートを放ち連続して鈴鹿ゴールを脅かす。16分には最終ラインの⑲児玉から左前方のスペースを狙って⑩田村を走らせ、そのまま一気にゴールに迫る。相手GKに阻まれたが序盤から多彩な攻撃を展開する。

 

 

その後も繰り返し右サイドからボールを運び鈴鹿ゴールに迫る。カウンター気味に相手の攻撃を受ける場面もあったが、DFラインを高く保ち、球際の強さと適切なカバーリングで相手の攻撃を早い段階で潰し決定的なところまで持ち込ませない。しかし28分、相手右サイドから一気に運ばれてゴール前にクロスを上げられる。ゴール前で頭で合わされたがここは精度を欠き枠を逸れる。その直後にも中央から抜け出されてボックスに侵入されシュートを打たれるが、⑪上田がカバーに入って身体を寄せ、GK①モリケンが脚を伸ばして防いだ。

 

 

前半の中盤は相手の攻撃を受ける時間帯になったが、集中した守備で守り切り少しずつ流れを取り戻す。しかしやや淡白な攻撃が続き、序盤に見せた勢いを失う。終盤に差し掛かり41分に㉔池田のシュート、44分に⑱エフラインのシュートとチャンスを作ったがいずれも相手GKの好セーブに阻まれて先制点を奪えず、0-0で前半を終えた。

 

 

後半、仕事人・大竹の決勝ゴールで試合を決める!

 

ハーフタイム、⑮梁に代えて㉘吉田を右サイドに投入。前半は右にいた⑩田村が左へ。序盤から交代で入った吉田が右サイドからパワフルな突進で縦に運び、クロスを入れたり自らシュートを狙ったりと持ち味を活かして積極的に仕掛ける。前節でリーグ戦初ゴールを決めたパワー型ストライカーに期待がかかる。55分には自ら持ち込んで強烈なシュートを放ったが惜しくもポストに嫌われる。

 

 

58分、自陣で相手のパスを池田がインターセプト、森主に預けて左前方を走る田村に預ける。相手のボックスまで運んだが相手DFが必死に戻りクリア、田村の高速カウンターで相手ゴールに迫る。その直後、コーナーキックからのセカンドボールを拾い中央から⑲児玉がミドルシュート、しかしここはわずかにクロスバーの上。

 

 

後半に入っても前からのプレッシャーと球際の強さを発揮し高い位置で相手ボールを奪い攻撃に切り替える。相手ボールになった際もDFラインがズルズルと下がることなくラインを高く保ち相手にチャンスを作らせない。しかしヴィアティン三重がボールを保持する時間が長くなり、優位な流れを作りながらもゴールの匂いがする決定的な場面までは至らない。そして68分、⑱エフラインに代えて⑨大竹を投入。78分には⑦森主に代えて㉕藤澤を投入。

 

 

そして迎えた83分、右サイドの池田から中央に降りた田村へパス、相手選手と入れ替わりながら前を向いた田村、最前線の大竹に目をやり呼応するように走り出す大竹。相手DFと身体をぶつけ合いながら駆け出し、田村から出されたパスに先に相手DFが寄せたがボールはすり抜けて大竹の前に転がる。ボックスに迫る大竹、前に出る相手GK、右から寄せて来る相手DF。ゴール前で顔を上げた大竹、GKの位置を確認して迷わず左足を振る。蹴ったボールがゴールの真ん中に突き刺さった。

 

 

大歓声のゴール裏、大竹に駆け寄るサブの選手たち、そしてサポーターのもとへ走る大竹、ダービーでのゴールはいつもの何倍も盛り上がる。均衡を破る先制ゴールに、80分間必死に走り続けたチームメイトも歓びを爆発させる。古巣相手に絶対に勝ち切りたい、そんな強い気持ちを見せる⑩田村翔太、ゴール裏を煽ってサポーターとチームを鼓舞する。

 

 

そしてアディショナルタイムを含めて残すところ10分程度、まだまだ気を抜くことはできない。追いつきたい鈴鹿はロングボールを入れてヴィアティン三重ゴールを目指す。しかし集中を切らさないヴィアティン三重の選手たち、90分を過ぎても流れを相手に渡すことなく攻撃を続ける。アディショナルタイムは3分、ここからは時間を使ってボールキープ。最後は鈴鹿のコーナーキック、GKも上がって同点ゴール狙うが最後は藤澤が頭で跳ね返したところで試合終了。今季最後の三重ダービーはヴィアティン三重が見事な勝利を収めた。

 

 

J3昇格の目標は果たせず、監督とスタッフの退任が発表されて迎えた今季三度目の三重ダービー。僕らにとって「特別な一戦」を迎えるに当たり、チームの雰囲気や選手らのモチベーションを心配していた私は、試合前にピッチで準備をしていた木口マネージャーにこの一週間のチームの雰囲気はどうだったかと尋ねた。

「これまで通り、何も変わっていません。良い雰囲気は変わっていないしダービーだけに当然いつも以上に気持ちが入ってますよ。」

試合前にその言葉を聞いて安心した。そしてそのあとピッチに現れた選手たちの表情を見たら不安は全て消し飛んだ。ダービーはやはり特別な一戦だと彼らの表情からも伝わったし、ホーム並みに集まったサポーターたちの声からもそれをあらためて感じさせられた。試合が始まると安定した守備を見せ、奪った後は速い攻撃で相手を脅かし、積極的なボール運びでヴィアティン三重が優位に試合を進めた。得点のチャンスは何度か迎えながらも決めきれない、これまでの課題は残しつつも三重ダービーにはめっぽう強い「仕事人・大竹」がプレッシャーに動じることなく先制・決勝ゴールを決め、守り切り、勝ち切った。

 

 

しっかりとボールを保持し、安定した守備を見せ、大事なところで決めきる。(欲を言えば複数得点ほしかったところだが)この2シーズンで積み上げてきたヴィアティン三重のサッカーを、今季最後の特別な試合「三重ダービー」で体現した。

 

 

特別な試合とはいえ、ダービーに勝っても勝点3は他の試合と同じ、何も変わらない。しかしこの一勝は勝利に飢えていた選手たち、良い時も悪い時も声を枯らして後押しを続けたサポーターたちにとって特別なものになった。それは我が街のクラブで、誇りを持って勇敢に闘う選手たちが前を向いてプレーし続けることの意味、それをただまっすぐに後押しすることの意味、歓びも悔しさも共有することの意味、それらを再確認するにふさわしい一戦だったことだろう。

 

 

「オレたちの価値を示そう」

昇格という目標は果たせなかったが、樋口監督の言葉は選手にもサポーターにも届いている。残り2試合、どれだけ価値を示すことができるのかはヴィアティン三重ファミリエ全員にかかっている。悔いを残さないように、あと2試合走りきろう。

 

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