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値千金・梁の移籍後JFL初ゴールで沖縄に勝利!

2023年06月19日 

 

苦しいゲームだった。そして苦しんでいた男が値千金のゴールを突き刺し勝利を手繰り寄せた。背番号15・梁賢柱(ヤン・ヒョンジュ)。東京武蔵野ユナイテッドFCから移籍し、今季よりヴィアティン三重に加入。先日の天皇杯2回戦・名古屋グランパス戦でも強烈なゴールを決めたヤンが、待望の移籍後リーグ戦初ゴールで試合を決めた。主力選手二人を欠いて臨み、蒸し暑く焦れる試合展開だったが、最後まで闘う姿勢と集中力を保ち続け、価値ある勝点3を手にした。

 

第25回 JFL第12節・試合結果

ヴィアティン三重 1-0 沖縄SV
(0-0/1-0)

  • 77分:⑮梁 賢柱・ヴィアティン三重

 

前半・動きが重い選手たち、互いにチャンスは少なく我慢の展開

 

天気は曇り、気温の割りに湿度が高く今年一番の蒸し暑さ。今節はキャプテン②谷奥健四郎が出場停止、㉟寺尾憲祐が前節での負傷を考慮してベンチ外。その代わりに㉒川中健太が怪我からスタメンに復帰、同じく怪我から復帰の㉘吉田篤志がベンチ入りを果たす。②谷奥のポジションには④寺田匡史が入り4−4−2のシステムで試合開始。相手は元日本代表・高原直泰選手 兼監督率いる沖縄SV。

立ち上がりからやや動きが重く感じるヴィアティン三重。思うようにボールが奪えず沖縄が保持しながら試合が進む。後ろから繋ぐ場面では前から厳しくプレスに来る相手に押され、繰り返し横パス・バックパスをさせられる場面が多い。相手は前線に181センチの⑩高原選手、185センチの㉕一木選手が並び、どこからでもクロスを入れてくる。その対応でヴィアティン三重の最終ラインはやや下がり気味、いつものコンパクトな陣形が作れない。

 

 

9分、前からプレッシャーに来る相手を見た④寺田、相手の裏のスペースを狙ってパスを入れる。反応した㉒川中のところに収まるかと思われたが相手GKが前に出て押さえる。グランパス戦を思い出させる良いパスが入りスタンドが湧く。続く11分、相手のフリーキックからのカウンター。左サイドから㉒川中がドリブルで運び中央を全力で駆け上がってきた⑩田村にアーリークロス。相手DFがかろうじてクリア、序盤に惜しい場面を作った。

 

 

22分、自陣でセカンドボールを回収、ハーフウェーライン手前からカウンター発動。⑳金がドリブルで一気に運び右サイドに開いた㉒川中へパス、ゴール前ファーサイドから中に入ってきた⑩田村へグラウンダーのパス、田村のシュート。これは相手DFに当たりGKがギリギリ脚で弾き返す。こぼれ球を拾った川中から左サイドに開いた⑤菅野へパス。菅野から浮き玉のクロス。再びゴール前の田村が頭で合わせるがここはGKが正面でキャッチ。カウンターから良い攻撃を見せた。

 

 

 

28分、沖縄の攻撃。ヴィアティン三重陣内で相手右サイドからアーリークロス。ファーサイドから頭で折り返されるがGK①モリケンが手を伸ばして弾き返す。セカンドボールを再びゴール前に入れられフリーになっていた選手がヘディング。ゴール左隅に飛びあわや失点かと思われたが横っ飛びのモリケン、目一杯に腕を伸ばして掻き出した。

 

 

 

ここから難しい時間が続く。相手にボールを握られ奪いに行こうとするがうまくハマらずいつものプレスが掛けられない。セカンドボールも拾えず細かなミスパスも多く受けに回らされる。何度もクロスボールを入れられてゴールを脅かされそうになるが、しっかりと身体を張った守備で対応し危ない場面をしのいだ。

 

 

後半・交代選手の活躍で流れを掴み、梁のゴールで勝ち切る!

 

ハーフタイムに1名交代、⑤菅野→⑮梁。立ち上がりはお互いにボールを握れず前半の雰囲気をひきずった展開。そして50分、相手右サイド深いところからゴール前に速いクロスを入れる。沖縄⑳冨久田選手がドンピシャのタイミングで飛び込み頭で合わせるがわずかに枠の左に逸れる。この試合でもっとも危ない場面が不意に訪れる。頭を抱え天を仰ぐ沖縄⑩高原選手。

 

 

53分 ⑯橋本→⑨大竹、そして左サイドからのコーナーキック。早速ファーサイドの大竹が頭で合わせるが相手GKが弾く。ファーストタッチでチャンスに絡む大竹、期待が膨らむ。そして⑨大竹がポストプレーで起点を作り、縦方向にボールが動き始める。左右に散らしながら左サイドの㉕藤澤、右サイドの㉔池田がボールを運び前への推進力が生まれ始める。そしてやや沖縄に疲れが見え始めヴィアティン三重の選手がボールに関わる場面が多くなる。

 

 

70分、㉒川中→㉘吉田。得点が欲しいヴィアティン三重、それぞれ個性の異なるFW登録の選手が4枚横に並んでゴールを狙う。75分、交代で入った㉘吉田、右サイドでパスを受け身体を相手にぶつけながら反転、ゴリゴリと前にボールを運ぶ。ボックスの手前まで運んだところで中央にいた⑮梁へパス、梁がシュートを放つがここはGK正面。個人技と良い連携からじわじわと相手ゴールに迫り、得点の匂いがし始める。

 

 

そして77分、自陣でボールを受けた㉕藤澤、目の前が広く空いているのを見てスルスルとドリブルで前に運ぶ。相手のプレッシャーは来ない。そしてゴール前で中央の⑩田村へ正確なクロスを入れる。相手DFともつれながらボールを収めたい田村、こぼれ球に詰める⑨大竹、それに寄せる相手DF、すると密集からボールがこぼれ出た。そこへ猛然と走り込む⑮梁、鋭く右脚を振る。低い弾道の強烈なシュートがゴール右隅に突き刺さる。待望の先制ゴール!歓びを爆発させる梁、チームメイトの手荒い祝福でもみくちゃに。

 

 

 

息を吹き返したヴィアティン三重、疲れの見える沖縄、残り時間は10分あまり。85分、㉕藤澤→⑪上田、⑳金→⑦森主。燃える闘魂・森主麗司、久しぶりの登場でスタンドから「麗司頑張れよ〜!」と大きな声が飛ぶ。最後はしっかりと集中し落ち着いたプレーで時間を使い1点差を守りきり試合終了。苦しみながらもしっかりと勝ち切り、勝点3を手にした。

 

 

天皇杯2回戦・名古屋グランパス戦を終えたあと、2点目を決めたヤンはこう語っていた「今シーズンはまだリーグで点を獲れていないんですよ…。三重県選手権と天皇杯ではなんとか決められたので良かったけど、リーグで獲れてないので。こんなんじゃクビになるんじゃないかと思って焦ってしまって。調子は悪くないのでリーグでもどんどん狙って行きます。」

クビになるというのは極端かもしれないが、ヤン自身は「点を獲ること」が自分の明確な役割だと自覚している。彼のゴールへの貪欲さを伺わせる発言からは「どれだけ良いプレーをしても点を獲らなければ仕事をしたことにならない。」そんな強い決意が感じられた。リーグではここまで8試合に出場、先発は10節・高知戦の1試合のみ(70分で交代)、あとはすべて後半からの途中出場。この試合では後半の最初から⑤菅野に代わってピッチに立った。いつもは目を細めて笑う笑顔が特徴的な彼だが、ロッカーを出てピッチに向かうヤンの目は鋭く輝いていた。

 

 

後半になって少しずつ流れを掴みかけてはいたものの、なかなか決定機を作れないでいたヴィアティン三重。「ヤン、斜めで受けてどんどん仕掛けろ!!!」ベンチの樋口監督から何度も檄が飛んでいた。得意のドリブルから仕掛けて中へ入り、コースが見えるやいなや強く右足を振る。何度も仕掛けてゴールを狙う。77分、ゴールへの執念を持ち続けたヤンの目の前にボールがこぼれてきた。一瞬、クリアしようとする相手DFと相打ちになったように見えたが、ヤンのたくましい右脚が相手よりも先に、鋭くコンパクトに振り抜かれ強烈なシュートを突き刺した。コンマ数秒、相手よりヤンの強い気持ちが上回ったからこそ生まれたゴールだった。

 

 

ゴールを決め倒れ込むヤンに駆け寄るボム、スン、タケ。それを振り払いながら全力で駆け出すヤン。サブの選手らにもみくちゃにされ、ゴール裏サポーターからのエールに応え、いくつもゴールパフォーマンスを披露してスタジアムを湧かせた。そして樋口監督のところへ駆け寄ってハイタッチ。やっとの思いでずっと欲しかったリーグ戦での移籍後初ゴールが生まれ、ここまでの苦しい試合展開も相まって、溜まっていたものを思い切り爆発させた瞬間だった。

 

 

守備ではキャプテン②谷奥を出場停止で欠く中、④寺田と⑲児玉がGK①森と連携して無失点に抑えた。また怪我から復帰した㉘吉田が後半途中からピッチに立ち、20数分のあいだに何度も持ち味を発揮したプレーを見せた。右サイドで見せた縦への突破は、まるでラグビー選手のように両足を力強く掻いて相手選手を振り切った。パワフルで勇猛果敢な姿にスタジアムが大きく湧いた場面だった。

 

 

先日の名古屋グランパス戦は(特に後半)とても良いゲームを展開し、ヴィアティン三重らしいプレーを随所に見せることができたが、リーグでは10節・高知戦、11節・青森戦、そして今節の沖縄戦とどの試合もかなり苦しんだ。しかし直近のリーグ3試合を終えて2勝1分の勝点7。悪くない、むしろ良い結果と言える。苦しい展開ながらも負けない、勝ち切る強さとチーム力、底力が少しずつ積み上げられている証拠だろう。

混戦が続く今シーズンのJFL。唯一クリアソン新宿が少し抜け出そうとしている感はあるがまだまだ十分追いつける位置にいる。ここから上位に食らいついて行くためになんとしても連勝で勝点を積み上げたい。ここ3試合で見せた我慢強さ、新戦力の活躍、そして昨シーズンから積み上げてきたヴィアティン三重のフットボールで、今年のアツい夏を大いに盛り上げて欲しい。そして次のホームゲームは待望のナイトゲーム、様々なイベントも盛りだくさん。2017シーズンのJFLスローガンで今も名言的に語られる「楽しむヤツが勝ち!」のスピリットで、ホームゲームもイベントも思いっきり楽しんで「勝ち」に行こう。まずは次節・アウェーでのレイラック滋賀戦、水口スポーツの森陸上競技場までは車でわずか1時間、JFL最強サポーターの誇りと共に、僕らの選手たちを後押しに行こう!

 

 

試合運営サポートは桑名工業高校サッカー部のみなさん!

第12節の運営サポートは桑名工業高校サッカー部のみなさんでした。これまで何度も運営のお手伝いをしていただいていることもあり、皆さん慣れた様子でスムーズにそれぞれの役割をこなしてくれました。試合後には田村翔太選手からお礼のメッセージが送られました。ありがとうございました!

 

フォトギャラリー①

フォトギャラリー②

公式記録

2023 JFL第13節 6/24土 vs レイラック滋賀

  • 第25回 日本フットボールリーグ 第13節
  • 試合日程:2023年6月24日(土)アウェー
  • 対戦相手:レイラック滋賀
  • 試合会場:水口スポーツの森 陸上競技場
  • 開始時間:13:00キックオフ